鮎は一年で生涯を終える年魚です。
だからこそ釣期の見極めが釣果を大きく左右します。
本記事では日本各地の解禁から終盤までの期間目安を地域別に整理し、季節進行に合わせた狙い方をプロの視点で解説します。
河川ごとのルールや水温、水位、天候の変化も織り込み、初めての方からベテランまで使える実践的な指針に仕上げました。
現地の漁協発表は最新情報ですので必ず確認しましょう。
目次
鮎釣り 期間の全体像と基礎知識
鮎釣りの期間は、法律上の禁漁期と各漁協が定める解禁日により決まります。
多くの地域では初夏に解禁し、初秋から晩秋に禁漁へ移行します。
河川や年の気象条件で差が出るため、毎年の見直しが大切です。
釣法やサイズの目安も時期で変わるため、期間の理解が戦略の出発点になります。
年魚のライフサイクルと釣期の関係
鮎は秋に産卵し、稚魚は冬を海や湖で過ごし、春に遡上して初夏に縄張りを持ちます。
縄張り行動が強まると友釣りの効率が上がり、盛期に入ります。
秋口は産卵行動が始まり、落ちアユの大型を狙える反面、縄張り性は弱まります。
この季節変化が釣法選択とポイント選びを規定します。
解禁日と禁漁期間の考え方
解禁日は都道府県の内水面漁業調整規則と、各漁協の遊漁規則で決まります。
同一県内でも河川ごとに差があり、同一河川でも区間ごとに時期がずれることがあります。
禁漁は産卵保護のため地域差が大きく、早い河川では9月中に一部区間が禁漁となる場合もあります。
終盤ほど区間や釣法の限定が増える傾向があるため、直前確認が不可欠です。
早期解禁と遅れ解禁の要因
早期解禁は遡上が早い年、放流主体の河川、温暖地域で起こりやすいです。
遅れ解禁は冷春や増水、工事、資源保護の判断で生じます。
ダム操作や海況変化も遡上量とタイミングに影響します。
年ごとのバラツキを吸収するには、直近の水温と稚鮎遡上情報を追うのが効果的です。
地域別の解禁時期と終了時期の目安

下表は代表的な地域区分の期間目安です。
河川や区間により前後しますので、現地ルールを必ず確認してください。
終盤は区間限定や釣法制限が入ることがあります。
| 地域 | 解禁の目安 | 盛期 | 終盤の目安 |
|---|---|---|---|
| 北海道・東北 | 6月中旬〜7月上旬 | 7月中旬〜8月下旬 | 9月上旬〜10月上旬 |
| 関東甲信 | 6月上旬〜中旬 | 6月下旬〜8月 | 9月上旬〜10月 |
| 中部・東海 | 5月中旬〜6月上旬 | 6月〜8月中旬 | 9月〜10月上旬 |
| 近畿 | 5月中旬〜6月上旬 | 6月〜8月 | 9月〜10月上旬 |
| 中国・四国 | 5月下旬〜6月上旬 | 6月〜8月 | 9月〜10月 |
| 九州 | 5月中旬〜下旬 | 6月〜8月 | 9月上旬〜10月上旬 |
| ダム湖・湖産主体 | 河川より遅れがち | 7月〜8月 | 9月〜10月 |
北海道・東北の特徴
雪代の影響が長く続き、解禁は本州より遅めです。
水温の立ち上がりが鍵で、20度前後に達すると一気に活性が上がります。
終盤は冷え込みが早いため、9月以降は短時間勝負になりやすいです。
関東甲信の特徴
多摩川や那珂川など大河川は6月上旬解禁が目安です。
盛期は7月に入り、真夏日が多い年は朝夕の時合いが濃くなります。
山岳渓流域は朝の水温が低く、日照で立ち上がる昼前後が狙い目です。
中部・東海の特徴
長良川や天竜川などは5月中旬から区間ごとに順次解禁する例が多いです。
早場は小型中心ですが数が伸び、6月以降は型も上がります。
終盤は瀬落ちや深場で落ちアユ回遊が見られます。
近畿の特徴
淀川水系や紀伊半島の河川は早期から楽しめます。
梅雨の増水が周期的に入り、濁り明けの数日が高活性です。
水温上がり過ぎの真夏は日中のドピーカンを避け、シェードを絡めるのが有効です。
中国・四国の特徴
吉野川や四万十川は6月に盛期入りし、真夏は瀬の中で大型が出ます。
台風通過後は安全第一で、落ち着いたタイミングを見計らいましょう。
清流の透明度が高い日は細仕掛けが効きます。
九州の特徴
温暖で解禁が早い傾向です。
梅雨の雨量次第で状況が二極化し、渇水年はスレが早まります。
終盤は大型が浅いトロ瀬に乗るため、広く泳がせると効率的です。
ダム湖・湖産アユの傾向
ダム湖源流域では水温が上がるのが遅く、解禁直後は渋めです。
安定後はサイズがよく、盛期は持続しやすいです。
放流主体は個体差が小さく、均質な釣れ方になりやすい傾向です。
河川ごとの違いと最新確認のポイント

同じ地域でも漁協の判断で解禁日や釣法規制が異なります。
遊漁券の種類やエリア区分も細かいので、事前準備が釣行の質を左右します。
現地の案内は最新情報です。
出発前に必ず確認しましょう。
- 解禁日と禁漁日
- 釣法の可否と区間限定
- 日釣り券・年券・遊漁時間
- オトリ販売所と営業時間
- サイズ制限・持ち帰り制限
- 当日の水位・放流量・工事情報
漁協別ルールと遊漁券の種類
日釣り券と年券の価格、購入方法は漁協ごとに違います。
一部河川はキャッシュレス対応の売店が増えています。
区間により釣法の可否が変わるため、地図と合わせて確認しましょう。
夜間の友釣りや早朝時間の制限がある場合もあります。
放流量と天然遡上で変わるピーク
天然遡上が多い年は初期の伸びがよく、回遊性が強い個体が広範囲でヒットします。
放流主体の河川は解禁から安定して釣れ、盛期の持続性が高い傾向です。
ただし高水温や渇水では警戒心が増し、瀬の芯にタイトに入れる技術が必要になります。
ピークはおおむね盛夏ですが、冷夏は一段遅れることがあります。
毎週の水位・水温情報の見方
釣り前の指標は平水からの変化量です。
増水直後は危険回避、濁りが取れたタイミングで勝負します。
水温は18〜23度が安定帯で、朝夕の変化幅もチェックします。
前日との上げ下げが小さい日ほど群れの移動が読みやすいです。
旬のピークはいつか
鮎の旬は水温推移と河川規模で決まります。
解禁直後は数、盛期は型と数、終盤は大型と難易度のバランスです。
狙いを絞ると釣行満足度が上がります。
初期のサラ新と縄張り形成
解禁直後のサラ新は警戒心が薄く、短時間で数が出ます。
縄張り形成が浅場から始まり、石の色が変わるポイントに新垢が乗ります。
瀬肩やトロ瀬の境目を軽い仕掛けで泳がせるのがコツです。
オトリは小さめで、ピンポイントに通しましょう。
盛期のサイズと密度
盛期は瀬の中でサイズが伸び、掛かりも強烈です。
回転が速い筋を攻め、オトリを弱らせないハリス長とハリ選びが決め手です。
入れ掛かりが止まったら角度とレンジを変え、石裏やガンガン瀬を打ちます。
群れの回遊を面で捉えるイメージが大事です。
終盤の落ちアユと大型狙い
終盤は婚姻色が出て大型が浅場を回遊します。
縄張り性は弱まり、待ちの釣りが増えます。
夕方の時合いに強い筋を抑え、通す時間を長めに取ります。
群れが抜けたら早めに見切り、次の筋へ移動しましょう。
季節別の狙い方と戦術

季節進行に合わせて、立ち位置、オトリ操作、仕掛けを変えます。
同じ川でも日ごとにベストが変わるため、引き出しを多く持つことが重要です。
解禁直後の攻め方
軽いオモリと細仕掛けで自然に泳がせます。
オトリは元気重視、交換頻度を高めてリズムを作ります。
群れの移動が速いので、釣れた石色と水深をメモし、似た条件を次々と打ちます。
午前は瀬肩、午後は日が差すトロ瀬が鍵になることが多いです。
盛夏の高水温対策
水温が24度を超える時間帯はへばりやすく、シェードと湧水の筋が生命線です。
短い回遊コースに通し、休ませながらテンポを作ります。
掛けたら素早く取り込み、オトリの負担を最小化します。
朝夕の2部制釣行で体力と釣果を両立させます。
台風後・増水時の安全と再開タイミング
増水直後の入川は厳禁です。
水位が平水プラス30〜50センチから、濁りが取れて流速が落ちた頃が再開の目安です。
残りアカが残る岸寄りのヘチや巻き返しから始めます。
流木や足場の変化を読み、事前の歩線確認を徹底しましょう。
秋口の渋い時期の工夫
見切りが早くなるため、ハリは小さめ、ハリス短めで違和感を減らします。
止め泳がせと芯外しのドリフトを使い分けます。
カラーや形状の違うハリをローテーションし、反応を探ります。
夕マズメの一発に備えてポイントを温存するのも有効です。
釣法別のベストシーズン
河川の規則で可否が分かれるため、必ず確認してから選択します。
各釣法には最も力を発揮する時期と条件があります。
友釣りの旬
縄張りが強まる6月下旬から8月が本領です。
初期は軽い仕掛けと小オトリ、盛期は強仕掛けで瀬の中を貫きます。
終盤は待ちの泳がせと回遊読みで拾っていきます。
群れの密度と石アカの更新に合わせたライン号数の調整が鍵です。
毛針流しの適期
小中規模河川の解禁直後に強い場面があります。
表層を意識する時間帯に流速の緩急を跨いで通すのがコツです。
透明度が高い日はサイズと色の抑えめから試します。
風がある日はドリフトが決まりやすいです。
コロガシの地域事情
地域によりコロガシの可否や区間限定が定められています。
実施可能な河川では増水後の残りアカ狙いに適します。
安全と周囲への配慮を徹底し、混雑時は距離を取ります。
規則順守が資源保護につながります。
ルアーアユと小規模河川
ルアー専用区間や試験的導入の河川もあります。
水量の少ない小規模河川での回遊読みとショートレンジの操作が効果的です。
日照で群れが動くタイミングを逃さないよう、観察時間を確保しましょう。
可否は必ず事前確認してください。
水温・天候・水位が期間に与える影響
同じ解禁日でも水温と水位の組み合わせで釣れ方は大きく変わります。
指標を持つと釣行判断が速くなります。
ベスト水温と時間帯
18〜23度が安定帯で、朝は日照で水温が上がり始める時間に活性が出ます。
真夏は朝夕の水温が落ち着く時間に時合いが集中します。
曇天や微雨は終日散発的に拾える展開が多いです。
気温よりも水温の日較差を指標にしましょう。
渇水年と多雨年の違い
渇水年はポイントが限定され、プレッシャーが高まりスレが早いです。
多雨年はアカの更新が早く、濁り明けの短期決戦が増えます。
年の傾向に合わせて仕掛け強度と立ち位置を調整します。
足で稼ぐ範囲と回転を上げるのが効果的です。
濁りの回復曲線の目安
茶色濁りは回復が遅く、緑掛かりは早い傾向です。
同じ増水幅でも水源の土質で差が出ます。
瀬肩とヘチからクリアになり、瀬芯は最後に回復します。
視認距離と足元の石色をセットで判断します。
道具選びとメンテを期間で最適化
季節で使う号数や長さを変えると、オトリを弱らせず効率が上がります。
ウェアや安全装備も時期で見直しましょう。
初期と盛期で使い分けるオトリサイズ
初期は小型オトリで違和感を減らし、細仕掛けで操作性を高めます。
盛期はやや大きめで瀬の中を押し切る力が重要です。
交換のテンポを意識し、弱りは早めに休ませます。
活きオトリの保管は水温管理を徹底します。
仕掛け号数の季節チューニング
初期はハリは小さめ、ハリスは細めで通します。
盛期はハリ号数アップ、水中糸はワンランク太くして擦れに強くします。
終盤は見切り対策でハリ形状と色をローテーションします。
掛かった後のやり取りを前提に、タモ入れ位置を常に確保します。
ウェアと安全装備
解禁直後は水温が低く、防寒と浮力の両立が重要です。
真夏は熱中症対策として冷感インナーとこまめな休憩を取りましょう。
増水後はフェルトピン底やライフジャケットで安全を優先します。
偏光グラスは石色と筋を読むための必需品です。
よくある質問
期間に関する疑問を簡潔に整理します。
現地の最新情報と合わせて判断してください。
平日と休日どちらが釣れるか
プレッシャーが低い平日の方が同条件なら有利です。
ただし休日は人が多くても群れの回遊が読めれば釣果は伸ばせます。
入川時間を前倒しし、先に要所を押さえる戦略が有効です。
混雑日は移動力が最大の武器です。
朝夕マズメは有効か
真夏と終盤は特に有効です。
初期は日照で水温が上がる午前中も強い時間帯になります。
天候と水温の日較差で狙う時間を組み立てます。
二部制釣行で集中力を保ちましょう。
雨天時は釣れるか
小雨や曇天は光量が落ちて見切りが減り、良い結果につながることが多いです。
大雨や雷の予報は中止が基本です。
安全最優先で、翌日の濁り明けを狙った方が効率的な場合が多いです。
入川と脱出のルートを常に確保しましょう。
チェックリスト。
出発前の最終確認で失敗を防ぎます。
- 漁協の解禁区間と釣法ルール
- 遊漁券の購入場所と時間
- 当日の水位と濁り、放流情報
- オトリの確保と予備仕掛け
- 安全装備と天候の変化対応
まとめ
鮎釣りの期間は、地域と河川、年ごとの気象で大きく変わります。
基本は初夏に解禁し、夏が盛期、初秋から終盤へ移行します。
水温と水位の組み合わせを指標に、季節進行に合わせた戦術を用いれば安定した釣果につながります。
現地の漁協案内は最新情報です。
安全とルール順守を第一に、旬の一尾を楽しみましょう。
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